スペイン周遊記③

line twitter facebook

ラ・マンチャのワイナリーを訪問

この日はマドリッドから車でカスティーリャ・ラ・マンチャ州のワイナリー、Bodegas Isidro Milagroに向かいました。

 

ラ・マンチャの概要

カスティーリャ・ラ・マンチャ州には全部で8つのD.O.(ラ・マンチャ、バルデペーニャス、モンデハール、メントリダ、ウクレス、リベラ・デル・フーカル、マンチュエラそしてアルマンサ)があります。

Bodegas Isidro MilagroのあるD.O.ラ・マンチャはマドリッドの南のメセタ上に広がる広大なワイン産地で、D.O.に認定されているブドウ栽培面積が約16万ヘクタールと、単一の原産地呼称では世界最大を誇る地区です。

主要ブドウ品種はスペイン最大の栽培面積を誇る白ブドウのアイレン(この地方での栽培面積の70%を占める)、同じく白ブドウのマカベオ、黒ブドウではセンシベル(テンプラニーリョのラ・マンチャでの別名)やガルナッチャ(グルナッシュのスペインでの呼称)などです。 

スペインというと赤ワインをイメージする方が多いと思いますが、この地方では白ブドウの栽培面積が全体の75%を占めるそうで、白ワインの生産量が圧倒的に多いようです。スペインワインへの誘い(その③~白ワイン)でご説明しましたとおり、スペインには優れた白ワインも結構沢山あるのです。

この地域は典型的な大陸性気候で、最低気温が氷点下15℃にもなる厳寒の冬と、最高気温が45℃にもなる酷暑の夏の2つの季節しかない地域です。年間降水量は300~400mmと非常に少なく乾燥しており、一方で日照時間は年間3,000時間と非常に恵まれています。訪れたのは11月末でしたが、この日も下の写真のとおり晴れ渡った空。太陽の下では暖かく感じますが、日陰に入ると流石にヒンヤリしています。

 

ラ・マンチャの郷土料理

この地方の郷土料理には、ガチャス(ベーコンやチョリソの端切れを炒め、アルモルタ(エンドウ豆の一種だそうです)の粉を溶いて煮詰めた料理)(下の写真)、やミガス(残りもののパンを水に浸し、ニンニク、パプリカ、オリーブオイルで調理し、チョリソなどを加えて炒めたもの)(さらに下の写真)などがあります。

いずれも、白ワインとの相性が良いようです。(空気が凄く乾燥しているので、余計に白ワインを飲みたくなったのかも知れませんが。)前述のとおり、この地方では白ブドウのアイレンが栽培面積の70%を占めていますが、その理由のひとつが、この品種がこの地方のように乾燥した地域でも育てやすいからだそうです。

 

Bodegas Isidro Milagroについて

さて、いよいよ本題のワイナリー訪問へ。Bodegas Isidro Milagroは家族経営のワイナリーながら、DOリオハとDOラ・マンチャの2か所にワイナリーを所有しており、グループ全体での年間ワイン生産量は4千万リットルと、生産量ではスペインの上位10社に入る大きな規模のワイナリーです。年間売上高は約4千万ユーロ、売上の85%は海外への輸出だそうで、世界58か国に輸出しているそうです。

DOリオハのワイナリーでは自社畑も持っているそうですが、ここDOラ・マンチャでは基本的には他の業者からバルクでワインを大量に仕入れ、それを独自のノウハウでブレンド、必要に応じて樽で熟成し、仕向地の好みにあったワインをリーズナブルな価格で提供することに注力しているようです。

下の写真はの巨大な屋外タンクは、バルクで購入したワインをブレンド、貯蔵するためのタンクだそうです。

そして、下の写真の屋内タンクで清澄、さらにその下の写真の濾過機で濾過されます。また高級ワインについてはさらにその下の写真のように樽で熟成されます。

そして、最後に下の写真のような機械で瓶詰めされ、さらにその下の写真のような機械でラベルを貼って出荷されます。

そして、いよいよ待ちに待ったテイスティングです。こちらのワイナリーの特色は、大規模な設備を使用し、それぞれの顧客の好みにあったワインをテーラーメードで、しかも大量に作るというところです。つまり多品種、大量生産です。大量生産することにより、価格を下げ、価格競争力のあるワインを生産しています。所謂ブティック・ワイナリーのような、少量のワインを手間暇かけて作り上げるというスタイルでなく、どちらかと言うとワイン工場といった趣です。

こういったワイン生産の現場を見ると、ワインと一緒に語られがちなロマンのようなものが欠落しているように感じてしまいますが、多くの消費者が求めている安価で美味しいいワインを作るためには、こういうやり方を採用する必要があるということなのでしょう。ですから、これはこれで、ワイン生産の一つのスタイルなのだと思います。

と言っても、グループ全体としては、ちゃんとビオ・ワインも作っているし、DOリオハでは手間暇をかけたワインを作っていますので、安価なワインから、ビオ・ワイン、高級ワインまで幅広いラインアップを準備して、様々な需要に応えようとしている会社です。

安価なワイン、ビオ・ワイン、高級ワインと様々なワインを試飲させて頂きましたが、それぞれの価格帯において、それ相応の味が保たれており、価格と味のバランスは優れていると感じました。

世界最大のワイン産地、ラ・マンチャで出会った生産者、Bodegas Isidro Milagro。世界の消費者が求める様々なワインに対する思いに応えようと、努力を重ねている姿に感銘を受けました。

今回の訪問に際して、細部に亘る説明をしてくださった輸出部門のIreneさん(下の写真向かって右から2人目)、そしてその他のスタッフの皆さま、誠にありがとうございました。