スペインワインへの誘い(その⑤~ワイン法って何?)

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皆さんは『日本ワイン』と『国内製造ワイン』の違いってご存知ですか? 

国税庁が2015年10月に制定し、2018年10月末に適用が開始される予定の『果実酒等の製法品質表示基準』によると、『日本ワイン』とは国内で収穫されたブドウのみを使用し、日本国内で製造された果実酒(ワイン)のことで、輸入原料(濃縮果汁やバルクワイン等)を使用して国内で製造された『国内製造ワイン』とは明確に区別されます。

どうして『日本ワイン』と『国内製造ワイン』とを区別する必要があるの?

日本でワインを一番沢山作っている県と言えば、『山梨県』を思い浮かべる方が大半だと思いますが、実は日本で一番沢山ワインが作られている県は『神奈川県』なのです。では山梨は二番目かというと、実はそうではなく、二番目は『栃木県』で、山梨県は三番目なのです。(2013年の国税庁のデータより。)

では神奈川県や栃木県に多くのブドウ畑がありましたっけ? 栃木県ならまだしも、神奈川県にブドウ畑が沢山あるなんてこと、なさそうですよね。実は神奈川県にはメルシャンの、栃木県にはサントリーのワイン工場があり、輸入原料を使って安価なワインを大量に製造しているのです。

これらのワインを『日本ワイン』と呼んでいいのでしょうか? ワインの風味は原料のブドウによって大きく左右されます。そしてその原料のブドウは、栽培されている地域のテロワール(気候や地理的要因)に大きく左右されます。なので、輸入原料を使って日本で製造したワインは、必ずしも日本の気候や地理的要因を反映した風味にはならないのです

そこで、消費者を保護する目的で、ワイン先進国で整備されている『ワイン法』に倣って、『日本ワイン』と『日本製造ワイン』とを明確に区別することにしたのです。

スペインでは1933年にワイン法が制定されています。

何と、スペインではフランスよりも2年早く、1933年にワイン法が制定され、どこの地方で収穫されたブドウを使って、どこで醸造されたワインなのかを、消費者がきちんと知ることができる仕組みが整えられています。

その後、改良が重ねられて現在に至っていますが、下の図が現在のワイン法に基づいたスペインワインの分類です。(出典:Wine from Spain)

詳細の説明は省略しますが、ビノ・デ・パゴ(VP)からビノ・デ・カリダ・コン・インディカシオン・ヘオグラフィカ(VC)までが『保護原産地呼称』と言って、特定の地域(もしくは畑)で収穫されたブドウのみを使って、その地域の統制委員会の厳しい管理の下で造られたワインのみが、これらの原産地を名乗ることができるのです。

現在では、保護原産地呼称が認められた地域はスペイン全土に90あります。(下の図を参照。)この中で一番多いのがD.O.(デノミナシオン・デ・オリヘン)で、スペイン全土に67のD.O.があります。

これらの保護原産地呼称が認められたワインには、ラベルにその地域名が記載されており、さらにその地域の名称を示すシールが貼られています。(以下はD.O.リベラ・デル・デュエロのシール。)

これらの知識があれば、どこで収穫されたブドウを作って、どこで醸造されたワインかが分かると言うわけです。そして何よりも、安心してそのワインを買うことができると言うわけです