スペインワインへの誘い(その⑥~熟成した方がいいの?)

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どんなワインが熟成に向いているの?

どんなワインでも熟成することにより味わいが向上するのでしょうか? また長期間熟成すればするほど、味わいは向上するのでしょうか?

熟成による味わい向上のメカニズム

渋味成分(タンニン)が豊かなワインほど、熟成によってタンニンがまろやかになり、味わいが向上することが知られています。熟成の過程において、渋味成分(タンニン)が色素成分(アントシアニン)と結合し、澱となって沈殿することで、タンニンがまろやかになるようです。

さらに、酸味、渋味、甘味、果実味が混じり合い、より複雑な味わいになります。

スペインワインへの誘い(その①~赤ワイン)でご説明しましたように、赤ワインの醸造の過程でタンニンがワインの中に溶け込みます。これは、赤ワインのアルコール発酵時にタンニンを多く含む果皮と種子を漬け込むこと(マセラシオンと呼ばれます)に起因しています。(一方、白ワインの醸造の過程では、ブドウの果汁のみを発酵させますので、タンニンの量は限られてしまいます。)

従って、赤ワイン(その中でもタンニンが豊かな赤ワイン)の方が熟成に向いているのです。スペインの内陸部で栽培されているブドウは、昼夜の寒暖差が大きいことから、寒さから果実を守るために分厚い皮を纏うようになります。なので、そのような気候条件の下で栽培されたブドウから造られている赤ワインは、より長期熟成に向いているのです。

逆に白ワインは赤ワインほどは長期熟成に向いていません。(一部の高級白ワイン(特に酸味、甘味が強いもの)は赤ワインよりも長期熟成に向いているものもあるようですが・・・。)

熟成期間について。

どの程度の熟成期間を経過すると飲み頃になるかについては、ワインの原料となるブドウの品種、収穫された年の気候など、多くの要因に左右されますので、それぞれのワインによって違いがあるようです。長いものになると、10年から20年経ってようやく飲み頃になるものもあるようですし、1年から2年以内に飲んだ方がいい早飲みタイプのワインもあります。そういった早飲みワインの中にも上質なものはありますが、一般的には、高級なワイン程、長期間の熟成に向いているようです。

熟成によって他にどんな効果があるの?

オーク樽での熟成

白赤問わず、高級ワインはオーク樽で熟成させることが一般的です。樽で熟成させることにより、樽由来の香り成分がワインに移り、ワインの風味がより複雑になります。樽由来の香りの代表的なものには、ヴァニラ、ココナッツ・ミルク、丁子、燻製香、焦げ香、アーモンド、キャラメル、等があります。焦げ香、キャラメルなどは、樽を形成する際に、樽の内側を火で炙ることから生まれるものです。

また、この際の樽は大きなものよりも比較的小さな樽(容量200ℓ~230ℓ)のものの方が、また古いよりも新しい樽の方が、樽の効果がより顕著に表れるようです。

熟成期間で異なる階級

スペインの場合、赤ワインの熟成期間の長さによって、クリアンサレゼルバグラン・レゼルバと表示することが許されています。それぞれの最低熟成年数は以下のとおりです。

クリアンサ: 樽で6か月、瓶で18か月(合計24か月

レゼルバ: 樽で12か月、瓶で24か月(合計36か月

グラン・レゼルバ: 樽で18か月、瓶で42か月(合計60か月

前述のとおり、原料のブドウの出来によっては、長期熟成に適さない場合もあります。従って、クリアンサ、レゼルバ、グラン・レゼルバの原料となるブドウは、より出来のいいものでなければいけません。天候が悪い年のブドウからは、これらの長期熟成ワインが造られないことだってあるわけです。

まとめ

スペインの内陸部で栽培されるタンニンが豊富に含まれた黒ブドウからは、長期熟成に適した赤ワインが造られます。また、出来が良いブドウからはクリアンサ、レセルバ、グラン・レゼルバといった、より長期間熟成されたワインが造られます。

フレッシュでフルーティーなワインの方が好みという方もいらっしゃると思いますので、長期熟成タイプのワインの方が必ずしも優れているとは言い切れない部分もありますが、やはりスペインを代表する、スペインの大地の恵みをたっぷり受けたブドウから造られるワインの真骨頂は、長期熟成タイプの赤ワインではないでしょうか?