契約ワイナリー

スペインで最も経済的に裕福で、かつ美食の地としても知られ、また微発泡ワインのチャコリで有名なバスク州、スペインきってのワインの銘醸地、DOCaリオハを擁するラ・リオハ州(尚、DOCaリオハは、ラ・リオハ州、バスク州、ナバーラ州の3つの州にまたがる)、フランスとの国境のピレネー山脈に接し、牛追い祭りで有名で、ヘミングウェイの『日はまた昇る』の舞台となったパンプローナを州都とするナバーラ州、1542年設立とスペイン有数の歴史を持つサラゴサ大学がある古都サラゴサを州都とするアラゴン州、の4つの州からなる地方。

目次

バスク州

ワインの特徴

爽やかな酸味と塩味を思わせるミネラル感のある低アルコール度・微発砲性の辛口ワイン、チャコリが有名。

白が殆どだが、白と赤をブレンドしたロゼもある。地元の新鮮なシーフードとの相性がよい。地元のバルでは高い位置からタンブラーに注ぐパフォーマンスも楽しまれている。

DOチャコリ・デ・ゲタリア、DOチャコリ・デ・ビスカヤ、DOチャコリ・デ・アラバの3つのDOがある。

代表的なブドウ品種はオンダラビ・スリ(白)、オンダラビ・ベルツァ(黒)。

料理

南フランスとの国境にある美食の街、サンセバスティアンのピンチョスはあまりに有名。

地元の微発砲白ワイン・チャコリとのマリアージュ:Almejas o Merluza en salsa verde

サルサベルデ と聞くとイタリアや南米にもあるが、スペイン料理にも欠かせない。
国によって使う香草が変わるが、スペインではイタリアンパセリのみ。オリーブオイルを熱してニンニクとみじん切りのイタリアンパセリを投入し、お魚のスープストックと少量の小麦粉を入れて作る。

ちょっとしたコツを訊いたら、『途中で冷たい水を加えフライパンを動かすこと』と教えてくれた。こうすることで魚(具材)から出た脂とあいまっていいトロミが付くのだとか。

ラ・リオハ州

ワインの特徴

スペインを代表するワイン産地として世界的評価を確立しているラ・リオハ州は、エブロ川流域を中心に広がり、豊かな地形と多様な気候が生み出す複雑で奥行きのあるワイン造りで知られる。

19世紀後半に欧州のブドウ畑で猛威を振るった害虫、フィロキセラによってブドウ畑を失ったフランス人ワイン生産者達が、ピレネー山脈のお陰でフィロキセラ禍がまだ及んでいなかったエブロ河沿いのこの地に目をつけ移り住み、オークの小樽で熟成するボルドー式の醸造技術を持ち込んだことにより、高級ワインの産地として発展した。

ラ・リオハのワインを語る上で欠かせないのが、地域の明確な区分、固有品種の個性、長期熟成文化、そして伝統と革新が共存する醸造理念である。

まず、ラ・リオハ州のワインは大きくリオハ・アルタ、リオハ・アラベサ、リオハ・オリエンタル(旧リオハ・バハ)の三つに分けられる。リオハ・アルタは標高が高く、比較的冷涼な気候により酸がしっかり残ったエレガントなスタイルが特徴で、赤ワインでは複雑な果実味と繊細な樽香が調和したクラシックなタイプが多い。リオハ・アラベサは石灰質土壌が豊富で、骨格ある赤ワインを生み、凝縮感と芳香性の高さで知られる。一方、温暖なリオハ・オリエンタルでは、熟した果実味や豊かなボディを持つパワフルなスタイルのワインが多く、ガルナッチャの品質の高さでも評価される。

ラ・リオハのワイン造りにおいて中心的な役割を果たす品種がテンプラニーリョである。この品種は適度な酸と柔らかいタンニン、熟成を重ねることで得られるまろやかな風味が魅力で、地域の気候との相性も良く、リオハの赤ワインを象徴する存在となっている。そのほか、果実味豊かで温暖な区画に強いガルナッチャ、スパイシーなマスエロ(カリニャン)、深みを与えるグラシアーノなどがブレンドに使われ、ワインの表情をさらに多彩にしている。白ワインでは、古くから栽培されてきたビウラ(マカベオ)を中心に、マルバシアやガルナッチャ・ブランカ、近年ではテンプラニーリョ・ブランコなど新しい品種の活用も進み、個性豊かな白ワインが増えている。

リオハのワインが世界的に注目される理由の一つに、独自の熟成カテゴリーがある。赤ワインは「クリアンサ」「レセルバ」「グラン・レセルバ」という分類が一般的で、それぞれ最低熟成期間が規定されている。特にグラン・レセルバは樽と瓶で長期熟成を施すことで、ドライフルーツや革、スパイス、タバコなど複雑な風味を獲得し、長い年月をかけて深化したクラシックな魅力がある。白やロゼにも熟成規定があり、樽熟成を行う伝統が古くから根付いていることがラ・リオハの大きな特徴といえる。

一方、近年のリオハでは、伝統的な長期樽熟成だけでなく、果実の表現を重視したモダンスタイルも存在感を高めている。区画ごとの個性を際立たせる単一畑ワイン(ビニェド・シンギュラル)や、昔ながらのセメントタンク・大樽を活用した醸造など、造り手の哲学が多様化している点も興味深い。これにより、リオハのワインはクラシックからモダン、骨格あるものから軽快なものまで幅広い表情を備えるようになり、飲み手の選択肢を大きく広げている。

総じて、ラ・リオハ州のワインは、テンプラニーリョを軸にしながらも、産地ごとの個性、伝統的な熟成文化、そして革新的アプローチが三位一体となって生み出される多様性こそが最大の魅力といえる。その豊かな表現力は世界中で愛され続け、スペインワインの象徴として揺るぎない地位を確立している。

契約ワイナリー

料理

しっかりとしたワインとのマリアージュ:chuletas de cordero al sarmiento

子羊のグリルだが、塩で味付けしブドウの枝を使って野外か専用オーブンで焼き上げる。

他にもPatatas a la riojanaも伝統的なリオハの一皿。

ナバーラ州

ワインの特徴

DOナバーラの他に、(スペインで14あるうちの)3つのVP(単一ブドウ畑限定高級ワイン)がある。

近年は、土着品種のガルナッチャ(黒)に着目し、単一品種もしくは国際品種とブレンドした樽香のしっかりした赤ワインを生み出す。

ロゼワインも全体の30%程度造っており、殆どがガルナッチャからセニエ法で造られる。

白ワインは大半がシャルドネから造られており、樽熟成をするものとそうでないものがある。

代表的なブドウ品種は黒がテンプラニーリョガルナッチャカベルネ・ソーヴィニョン、白がガルナッチャ・ブランカビウラ(マカベオ)、マルバシア、シャルドネ

料理

ナバーラは個人的にロゼワインと極太のホワイトアスパラガスのイメージ。

ピキージョピーマンの詰め物も有名だが、ここではワインとのマリアージュに野菜の煮込みMenestre de verdurasをご紹介。

グリンピースやアーティーチョーク、アスパラガスに人参、じゃがいもなどのお野菜を茹でたあとににんにくを加えたオリーブオイルで炒めた玉ねぎ、生ハムと合わせ煮込むお料理。

不足しがちなお野菜をたっぷりとれる。

アラゴン州

ワインの特徴

北部はピレネーの山岳地帯、中央部はエブロ河が流れ、南部は砂漠地帯、と気候・風土が多様性に富むことから、多様なワインが造られる。

現在4つのDOがあり、ナバーラ州と接した産地、DOカンポ・デ・ボルハではガルナッチャを中心とした、ボディとアルコール濃度がしっかりした赤ワイン、同地域の南に位置するDOカラタユドではフレッシュな白・ロゼと重厚な赤ワインが中心。DOカラタユドの西に位置するDOカリニェナではガルナッチャを中心とした洗練されたエレガントなワインが中心、北のDOソモノンターノでは土着品種に加え、国際品種も多く栽培され、多種多様なワインが造られている。

代表的なブドウ品種は黒がガルナッチャ、カリニェナ(フランスではカリニャン、スペインの他地域ではマスエロ)、白がビウラ(マカベオ)、マルバシア。

契約ワイナリー

料理

ピレネー山脈の麓に広がる地。スペインの歴史レコンキスタ後の王国で赤ワインが大多数を占める。

赤ワインとのマリアージュ:お肉のチリンドロンソース(Pollo al chilindrón)。ソースのネーミングの由来は不明だそう。

鶏、兎または羊などと玉ねぎ、トマト、ピーマンなどの炒め煮だが、生ハムとパプリカを入れるとコクが出る。

その中でがんばる国際品種ゲヴェルツトラミネールで造られた、ラガール ダンプリウス ゲヴェルツトラミネールとのマリアージュ。

ぜひ中華のふかひれで合わせてみては。